特定技能は技能実習と異なり、転職が認められているという点は特徴的な部分としてご存じの方も多いと思われます。
今年6月末までの速報値で特定技能外国人の在留人数はおよそ6,000人となっており、まだまだ受入人数としては少ないものの、外国人財を積極的に採用している企業にとって、いずれ特定技能外国人の転職という話に触れる可能性は少なからずありえます。
今や特定技能外国人向けの求職サイトまで存在しており、今後特定技能外国人が転職を考える機会も増えるのかもしれません。
「すぐに転職されては外国人を採用するメリットがない」とか「職業紹介を通じて特定技能外国人を斡旋してもらう」と考えている受入企業もあるかと思います。
この「特定技能外国人の転職」について、今後のことも踏まえて状況を整理していみます。
最初に、転職と一言で言っても、ずばり日本人が日本で働くときと同じように個人の自由な選択やタイミングで退職できるとは言えません。
その理由としては、
- 特定技能外国人の受入要件を満たしている企業でなければならない(支援体制の実施など)
- 特定技能で定める14業種以内でなければならない
- 在留期間は1号特定技能外国人の間は「通算5年」
- 在留資格変更の時間を考慮しなければならない
- 引き抜き自粛要請が一部業界で出ている
これらについてひとつひとつ紐解いてみましょう。
受入要件を満たしている企業でなければならない
まずは転職による特定技能外国人の採用であろうと新たに入国する特定技能外国人であろうと、受け入れようとする企業は受入要件を満たしていなければなりません。
細やかなところをのぞいて列挙するだけでも、以下の要件が求められています。
- 特定技能所属機関について
- 労働保険料・社会保険料・税金はしっかり納付済みである事
- 1 年以内に非自発的離職者を発生させていない事
- 1 年以内に外国人の行方不明者を発生させていない事
- 5年以内に入管法及び労働法令等における法令違反がない事
- 5年以内に技能実習を取り消されていない事
- 債務超過になっていない事
- 役員等の行為能力や適格性に問題がない事
- 保証金の徴収や違約金の徴収を求めていない事
- 支援に要する費用に関して、費用負担をさせない事
- 労災保険の保険関係成立がなされている事
- 特定技能外国人と結ぶ雇用契約について
- 相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事させる事
- 労働時間は通常の労働者の所定労働時間と同等である事
- 日本人と同等以上の報酬額を設定している事
- 一時帰国を希望した際は必要な有給休暇を取得させる事
- 本人が帰国旅費を負担できない場合に補助する事
- 定期健康診断を受診させる事
- 報酬支払方法は口座振り込みになっている事
- 特定技能外国人への支援体制と支援計画について
- 外国人が十分に理解できる言語で支援を行う事
- 1 号特定技能外国人支援計画が作成されている事
- 事前ガイダンスを実施している事
- 出入国時に空港等への送迎をする事
- 外国人の住居確保に係る支援をする事
- 外国人の入国後に適切な情報提供を行う事
- 生活に必要な契約に関する支援を行う事
- 日本語学習の機会を提供する事
- 日本人との交流促進を行う事
- 非自発的離職時に転職支援を行う事
- 過去 2 年間に中長期在留者等(就労系資格に限る)の受入れ経験等がある事
特定技能外国人への支援体制と支援計画については、登録支援機関にこれを委託することでクリアすることもできますが、共同しなければならない部分もあるため、受け入れる企業自体もそれなりに準備や体制構築をしなければならないことは、様々な特定技能制度の説明で述べられているとおりです。
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